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のネットワークの拡張ではなく、日本の情報インフラのバックボーンとして位置づけ、構築することが必要である。

 

3-2 個人認証・識別システムの導入

 

「行政情報化推進基本計画」において、情報通信技術を活用して行政サービスの質の向上を図るという方向が明らかにされ、複数の機関にまたがる行政サービスの提供について、「1つの手続で複数の事務手続を可能とするいわゆる、ワン・ストップ・サービス等の事務手続の簡素化の在り方について調査研究を進める。」としているところである。この情報通信ネットワークを活用した新しい行政サービスについては、ネットワークの普及によって技術的には可能性が見えてきているが、制度・手続面で解決するべき事項がある。特に、ネットワークを介してサービスを申請し、受ける場合に、従来の本人確認の方法では対応できないこととなる。ネットワーク上で、ワン・ストップ・サービスのような形態の行政機関サービスを可能にするためには、複数の行政機関が本人を確認する手続(本人認証)と、複数の行政機関における本人の共通識別番号(統一識別コード)が必須となるが、我国においては現在のところいずれも存在しない。

統一識別コードの導入問題は国の行政機関においていくつかの試みがあったが、未だ実現していない。個人情報保護法の制定という個人の権利・利益の保護のための法的な保証ができ、一方で、情報通信ネットワークの普及によって、様々な形態の行政運営、サービスの提供が可能になりつつあるという状況を踏まえ、この本人認証システムおよび共通識別コードの導入について特に、行政サービスの改善の観点から検討を進めるべき時が来たと考えられる。

 

(1) 個人認証

行政サービスを請求した者が当該サービスを受益できる本人であることの確認を行うことは必須であるが、現在のところ、日本には、公的機関が発行した身分証明書は存在しない。このことは、我々日本人は自分を自分であることを主張し、それが公的に認証される仕組を持っていないことを意味している。止むを得ず、運転免許証、旅券、社会保険証が利用されているが、前者の2つは、任意取得であり、保有していない国民が少なくないし、保険証では写真が添付されていないという点で本人確認の方法としては不

 

 

 

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